弁護士の吉井です。

先日出席したある勉強会で、特定商取引法における表示規制とECサイト上の表示との関係が一つのテーマとなっていました。

ECサイトを運営する場合、サイト上の表示について法的に気をつけなければならないことが様々ありますが、特定商取引法における表示規制もその一つです。

サイトを介し、商品や一定の権利を販売すること(特定商取引法施行令別表1に定めのあるもの)、サービス(役務)を提供することは、特定商取引法(以下「法」といいます。)上は、「通信販売」に該当します(法2条1項2号、施行令1条2号)。

このようなサイトでの商品などの広告の表示については、法11条各号記載の事項の表示を義務付けられることとなります。

また、商品の性能や権利もしくは役務の内容、申込みの撤回、解除、その他について、事実と相違し、または優良、有利と顧客に誤認させるような表示(誇大表示など)をすることも禁じられています(法12条)。

さらに、顧客による解除を妨害したり、意に反する申込みを誘うなど、取引の公正や顧客の利益を害するおそれがある一定のものについて、表示を禁じられています(法14条)。

これらのうち、法11条、法12条の義務に反する場合には、業務停止を命ぜられることもありますし(法15条1項)、法14条に反する場合で、主務大臣の指示に従わない場合にも業務停止を命じられるおそれがあり、これらの場合には、公表もされることになります(法15条3項)。

一度、業務停止やその公表があれば、顧客からの信頼は大きく損なわれ、経営の危機を招くことになります。そこで、運営者は、法令に反する表示となっていないかどうか、細心の注意を払う必要があるといえるでしょう。

その他、表示に関しては、消費者契約法、景品表示法のほか、取扱商品によっては、薬事法・健康増進法(健康食品、ペット用品、化粧品)、貸金業法など、様々な規制が存在し、配慮が必要となります。

特に、最近、景品表示法(特に有利誤認、優良誤認)に関しては、消費者庁による措置命令が頻発しており、注意が必要です。

経済産業省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(平成26年8月版はこちら)では、これらの表示規制に関しても、図表などを用いた具体的な説明がされていて参考となりますが、サイトの作り方は事業者によって、それぞれ特徴がありますので、具体的なケースでの判断が難しい場合もあるかと存じます。不明な場合は、お気軽にご相談ください。