6月28日の「アサデス」に、収録出演しました。
パワハラ問題についてのコメントがOAされました。

時間の関係でOAされていないものの、パワハラでとくに重要な点を少し補足したいと思います。

パワハラとは(定義)

パワハラは、専ら、同じ職場で働く人に対し、職務上の地位・人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える行為を指します。

<div style=”border-left:10px solid #2e8b57; border-bottom:2px solid #3cb371; padding-left:10px; font-weight:bold;”><font size=”3″>どんな場合に認められるか?</font></div>
しかし、これが法律的に違法性を持つといえるためには、それなりにハードルが高いのですが、では、どういう場合に認められるか?という問題があります。
この点については、厚労省が、下記6つの類型に整理しています。

1)身体的な攻撃

暴行・傷害

2)精神的な攻撃

脅迫・名誉毀損・侮辱・暴言

3)人間関係からの切り離し

隔離・仲間外れ・無視

4)過大な要求

業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害

5)過小な要求

業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと

6)個の侵害

私的なことに過度に立ち入ること

 

裁判でポイントになること

上記の類型に該当するような言動が職場内で存在したかどうかを、証拠により証明する必要があります。
証拠の存否が重要です。
録音を取ることが重要です。
他方で、いつどこでどんなときに誰がいたのかということまで、あとでメモしておくことも重要です。
これには2つの意味があって、
・訴訟においては、証拠の採取の方法や過程が問われることが常であるから、という点と、
・録音のどの部分に、問題になる事象が記録されているかを検索できるようにする、という点
です。
単に「録音があります!」というだけでは、証拠として使いづらいものです。

職場側がしておいたほうがよい対策

とはいえ、なんでも「パワハラ」呼ばわりされることは、業務上必要な指導監督に支障が生じると思われます。

そこで、
①啓発活動
産業医や弁護士による講演、社内研修など
②情報収集(初動を迅速にするために)
社員アンケート、社内相談窓口や社外の専門相談機関の設置利用

といった会社としての取り組みも大切です。

職場側も責任を負うことがある

職場側は、パワハラについて、使用者責任(民法715条)により、パワハラをした人と連帯して責任を負うことがあります(横浜地裁平2.5.29判決)。

もっとも、実践的には、パワハラが単独で法的紛争になることよりは、別の法的紛争と一緒にパワハラが問題化する、ということが多いと感じています。
たとえば、解雇が争われる際にパワハラを伴っているとか、残業代請求に付随してパワハラが論点にされるといったことが多いです。

もともと労働紛争は、労使間とくに使用者側における「怒り」に起因する部分が大きいタイプの事件ですが、パワハラ(と労働者が感じた行為)がその法的紛争の引き金を引く、ということになるように思います。

労働紛争防止の観点から

以上の観点から、労働紛争防止の観点からも、日ごろのパワハラ対策は重要と考えます。

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