https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180829-00160120-the_tv-ent

1 こんなドラマをやるようです。いろいろと話題になってます。
ブラックジャックの弁護士版といったところでしょう。おもしろそうです。

弁護士法72条には「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件(略)法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。」とあります。
これは何の規程かというと、

「弁護士じゃない人が弁護士としての活動(法律事務の扱い)をしちゃダメ」という規程です。
これは、「免許のない人がクルマの運転しちゃダメですよ」とか、「医者じゃないひとが医療行為しちゃダメですよ」というのと同じ意味です。

医者じゃない人が医療行為しちゃダメ、という点。これは誰しもが納得するところです。
コレに対して、
「弁護士じゃない人が弁護士としての活動(法律事務の扱い)をしちゃダメ」
というのが、いまいち浸透していないか。

これは、医療行為(医学的な問題)と法律事務(法律問題)の物理的違いだと思います。
この2つは、以下の点で異なると私は考えています。この対比でみると、法律問題というのは、軽く見られやすいことがなんとなくわかります。

法律問題 医学的な問題
自覚症状 ない あることが多い
取り扱う対象 文字など言葉 人体
特殊な機材などのマテリアル パソコン 医療器具・医薬品
判断基礎となる情報の収集方法 ・ヒアリング(人の記憶)

・書類(ないことも多い)

・MRIなどの画像診断装置

・血液検査 など多彩

対応機関 わかりづらい 科目ごとに明確
結末 様々すぎて不明 疾病・死亡

法律問題というのは、対象となるのが「文字・言葉」ですから、医療問題の対象である「人体」よりはとっつきやすく、難しくなさそうで、かつ、別に人が死ぬわけじゃないし痛みもないから、軽く見えるのは当然のことだと思います。

ところが、その結果、自分で自分の体を手術する人はだれもいませんが(当たり前)、法律問題では、それと同じことが結構されていたりします。他方、法律問題の根底にある事実・ロジックを理解しないまま「メスを入れ」て、まずいところを切ってしまって「大量出血」場合によっては「死亡」に至ってから、弁護士のところに相談に来られるケースが後を絶たないのが実情です。余計な契約書に判子をおしたとか、契約書をミスったとかそういうパターンは典型例ですが、うなるほど事例があります。
気づかずに「まずいところを切ってしまった」ということが大半です。わかってりゃ切りませんね。
だから、法律事務は、基礎的な法律知識と法解釈力、及び事実認定のトレーニングを受けて技能を得たと認められて国からライセンスを得た弁護士の専権ということにされています。

2 「元弁護士」なら技能があるからいいんじゃないの?という疑問に対する回答
ところが、今回の米倉涼子さんの役回りは「元弁護士」。つまり弁護士として稼働していた時期があるのだから、「技能があるんだからいいじゃないか」という反論がありそうです。
しかし、「元弁護士」が法律事務に関わることは、つまり、弁護士が法律以外に守るべきルール(職務基本規程)による統制の対象になっていません。つまり、統制の対象外という点で、弁護士ではない人と同じなのです。

こういうひとが法律事務所に深く参与し、支配するようになる事務所が時々見受けられますが、そういう事務所には概ねいかのような特徴があります。

弁護士資格のない人が実質的に回している事務所の一般的な特徴は、
①金にならないことの徹底排除
②弁護士による専門的知見に基づく見通しなんて無関係に、出来るだの勝つだのと言って集客すること
③当該無資格者への資金流出があること
④弁護士より当該無資格者がやたら威張っていること
⑤中心弁護士が事務所の金の流れを把握していないor教えてもらっていないこと

③と⑤は重要で、「無資格者」が配偶者とか一定の信頼に立つ人なら良いのですが、広告屋とかコンサルとか、要はビジネスとして事務所に関わる人物の場合が問題です。
時には「無資格者」は、事務員・事務長を装って入り込み、給与名目で多額の「事件紹介フィー」をキャッシュアウトし、吸い尽くし終わったと見るやポイします。
顧客が注意すべきは、②で、説明をきちんと弁護士がしてくれているか、それが定型的な話ではなく事案に即して根拠を示しての話なのか、をよく見た方が良いのかなと思います。

なぜ「弁護士をポイするのか」なのですが、②で集めた事件は、結局、出口がないためまともに処理されず、必ず限界を迎えるからです。
彼ら「無資格者」にとって、弁護士は、「ハンコの捺せる使い捨てロボット」にすぎません。