共有不動産の問題は、本当に面倒です。
なので、遺言書書いてもらうときに、不動産が共有状態になるような遺言はなるべくさけてもらうようにしています。
ただ、共有が起きる理由は、①住宅ローン②税金対策③相続による遺産分割放置ですから、ある意味避けようがありません。
問題は、共有状態からの離脱の選択肢があまりにも少なすぎることと、手間がめんどくさいことなんですよね。
共有物分割請求とか。
制度批判しても仕方ないのですが、共有は、なるべく避けるにこしたことはない、と、いつも思います。
前置きが長くなりました。
ところで、最近ちょっと困ったことが増えています。
共有不動産は、法律上、共有者の一人が勝手に売却できないようになっています(共有者全員の同意がないと処分できない)。
そして、前述の通り、共有状態からの離脱はめんどくさいため、共有不動産の「持分」だけ買い取ろう、という奇特な人・会社は、なかなかいません。
逆に言えば、共有不動産は「勝手に売られる心配がない」という、ある意味メリットもあります。
ところが、最近、共有不動産の「持分」だけ買い取ろう、という会社が、出てきています。
このような場合が問題です。
①夫婦で不動産を共有している
②夫婦が別居・離婚協議している
③夫または妻だけ、当該不動産に居住している(もう一方の配偶者は出ていっている)
夫婦で不動産を共有している場合、例えば、夫が勝手に出ていったとしても、不動産(この場合夫の持ち分のこと)を勝手に売られることがないので、そこに居残っている妻は、そこでの居住を害されることは通常ありません。
が、業者が、その不動産の「持分」だけ買取り、あとは、居残った他の共有者(妻)を、様々な方法で追い出す、ということが出てきています。
実は、そうした業者は、弁護士法との関係で問題がないのか、という議論も無きにしもあらずだったのですが、札幌地裁でその点が争われた訴訟があったものの、どうも、弁護士法違反にはならないという方向の話になったときいております(この点未確認です。訴訟自体は和解したのでしょうか)。
買い取りに見合わぬ追い出し報酬的なものを業者が徴収していれば、弁護士法違反になる(依頼した「夫」も共犯になりうる)と私は思うのですが。
共有不動産にまつわる法律問題は、結構難しいものが多いので、弁護士としても、いつも悩むところなのです。