鎖国やタブーの弊害

5月以降も緊急事態宣言延長が言われ始めていますね。

その動きを察知してか、地域によっては、5月中旬ころに予定されていた期日も取消されつつあるようです。

この、裁判所の状況から感じたことを書きます。

鎖国をしたりタブーをつくったりすると、いったんそれがやぶれたとき、中の人はあたふたするしか手立てがなく、それを破った者に蹂躙されるだけ、という現象は歴史的にもよくあることでしょう。
(近いところでいえば、憲法問題は、かつての野党や左派が議論自体をタブー視あるいは「やたらと高尚な敷居の高いもの」にしたために、国民が、議論に慣れていない状況を作り出した。その結果、安倍政権になってから憲法と緊張関係のあるような法案が出ても、結局押し切られ、対処できなかった。今回のコロナの件でも、拙遅な政府の対応がむしろ緊急事態条項の導入に世論を突き動かす可能性があるが、憲法問題の議論自体をタブー視してきたことがここでも祟る可能性がある。以上私見です)

この点、裁判所を含めた司法業界は、我が国最後のIT鎖国であり、なかばIT機器の利用をタブーにしてきていました。

裁判所の内部は、今、どうなっているのか

ところで、一律に期日を取り消した裁判所の内部は、今、どうなっているのでしょうか。
裁判所は、現在、人員を大幅に減らして稼働しています(交代制で勤務されている)。
要するに、裁判の機能は、対外的には、ほぼストップしています。

今、コロナという黒船がきて、IT機器を積極活用しないと業務が回らないであろう現状に直面しているのは誰しも理解しているものの、それに、「中の人」は何の対応もできないのだろうと想像しています。

が、決して、裁判所の「中の人」が、手をこまねいているわけではない。一律の期日取消に異を唱える人、疑問を感じる人は必ずいます。

が、そこは鎖国の悲しいところで、誰が、何を、どうすればいいのか、というところで、まったく動けていないのではないか。
要は、今、裁判所は、めちゃくちゃ困っているのではないか。
どうしてよいかわからない。
だから、職責放棄とそしられても、期日取消するしかなかった。
したがいまして、職責放棄だと単に怒っても、変わりようがないように思います。
この問題は、単純に批判するだけでは改善しようのないくらい根の深い問題だと思われます。

弁護士(会)側からの積極的な提案が今の課題である

しかしながら、これは、弁護士会が、協議会を積極的に持ち掛けるなどすることで食い込んでガンガン提案するチャンスかもしれんなぁとも思いました。

怒るより、提案しませんか。

どんな提案をするか、弁護士会も考えているかもしれません。
自分も、積極的に意見を出したいと思います。