過日、「漫画村」の件で、著作権に関して若干のコメント出演をさせていただきましたので、お知らせさせていただきます。

すでにオンエア終わっておりますが、RKBサイトに残っています。
https://youtu.be/bZvaAnGkyWw

「漫画村」主宰者の移送・逮捕を受けての報道でしたが、「漫画村」が浮かび上がらせた著作権周りの様々な問題、とくに、著作権保護の有り方や、著作権保護を目的にしたブロッキングの問題(ブロッキングがもたらす、通信の秘密や表現の自由に対する弊害)とのバランスが問題になるため、そのあたりを中心に取材を受けました。

なお、本件がきっかけで巻きおこされた「ブロッキング」については、すでに議論の方向性・問題点は出尽くしており、私がここで多くを語る必要もないし、そのつもりもありませんが、とにもかくにも、発信者情報の開示を司る法律であるプロバイダ責任制限法、そして、外国への送達などに課題を残す民事訴訟法自体の使い勝手の悪さこそが問題視されるべき問題であり、一足飛びにブロッキングを持ち出すのは、的外れと考えます。

にもかかわらず、これを飛び越えて一律にアクセス制限をかけるブロッキングは、その判断権者による濫用・悪用の危険が懸念されますし、電気通信事業法や憲法における通信の秘密との関係も問題であります。なおブロッキング肯定論の中には刑法上の「緊急避難」として違法性阻却されるとの意見もあったようですが、緊急避難に関する諸判例と、プロ責・民訴法の有り方からすると、補充性の要件に欠けるといえ、その辺の考慮に乏しい議論とのそしりは免れないと考えます。

プロ責や民訴法の問題を意図的に無視し、一足飛びにブロッキングに走る議論には、何らかの意図があるのかと勘ぐりたくもなるところですが、ブロッキングは一旦収束したものの、今後も、違った形でこうした的外れな議論がされても、著作権の保護にならないだろうし、むしろブロッキングの濫用悪用のほうを懸念せざるを得ないです。

そんな背景があることを想像しながら、上記リンクを見ていただくと、見えてくるものがあると思います。記者の問題意識がわかりやすくまとまったよい特集だと思いました。