弁護士の後藤です。

今回は、私が最近読んだ本の紹介をします。『憲法主義』(内山奈月・南野森 2014年 PHP研究所) という本です。

題名からもお分かりのとおり、九州大学法学部で憲法学を研究されている南野森(みなみの・しげる)教授から、AKB48のメンバーである内山奈月さんに対する、日本国憲法に関する丁寧な説明と、それに対する内山さんの反応、その反応を受けての先生の更なる説明…という流れで話が展開していきます。ヴォリュームは200ページ強と、さほど苦にならない分量です。

読後の第一印象ですが、身の回りの沢山の法律の中に埋もれていて普段あまり意識しない「日本国憲法」の顔を、法律との比較や歴史的経緯、言葉の意味といった様々な角度から照らし出す手法で正しく浮かび上がらせている本だなと感じました。例えば選挙制度のトピックは、「どうやったら良い代表(議員)を選ぶことができるだろうか」という素朴な疑問を出発点に、制度の是非が論じられています。総じて理解しやすい構成になっているように思います。また、本書では内山さんの賢さに目を引かれがちですが、その点が光るのも、先導役としての南野教授の舵取りの良さがあってのことかな、と感じるところがあります。

『最近、憲法についてテレビなんかで話題になることも多いし、でも憲法のことなんて全然分かんない。今の憲法のことを、少しでも調べてみたい』という方は、年齢・性別を問わず多くなっているように見受けられます。そういった方々が手に取る本としては、うってつけの書籍だと思います。憲法に関して全てを説明する本ではありませんが、必要な考え方は身に付くのではないのでしょうか。一例を挙げれば、本書にも出てくる「国民は法律を守り、国は憲法を守る」という考え方は、憲法という存在を考える上で、知っていて損はないと思います。

余談ですが、違憲判決と内閣法制局に関する部分の記述は、私自身、知らない知識やエピソードもあり、とても興味深く読むことが出来ました。